最新の人工知能技術として注目を集める「ディープラーニング(深層学習)」。日本のスタートアップであるPreferred Networks(PFN)は2015年6月、ディープラーニングを実現するためのオープンソースソフトウエア(OSS)である「Chainer」を公開した。PFNはOSSを切り札に、米国市場の開拓を目論む。

 ディープラーニングは、脳の仕組みを模した「ディープ・ニューラル・ネットワーク」というシステムを使用する機械学習の手法。PFNは2014年10月、米Googleや米Microsoftなどの米大手企業が画像認識や音声認識に活用しているディープラーニングを、より幅広い産業領域に適用することを目指して設立した企業だ(関連記事:PFIが深層学習専業の「Preferred Networks」を設立、NTTが出資しトヨタと共同研究も)。

 PFNは、同社に出資するNTT以外にトヨタ自動車やファナック、パナソニックと提携し、ディープラーニングの産業用ロボットや自動走行車への適用などを進めている(関連記事:PFN、ディープラーニングの産業応用でファナック、パナソニックと協業)。これらの研究開発を進めるなかで、「既存のOSSツールを使うのではなく、それらの機能を強化した独自のソフトが必要だと考えた」(同社の西川徹社長)ことから、2015年4月に独自のディープラーニングツールである「Chainer」の開発をスタート。6月にOSSとして公開した。

 Chainerは、データサイエンティストに人気の高いプログラミング言語「Python」を使って、ディープラーニングのシステムを開発できる「開発フレームワーク」である。グラフィックス処理用のプロセッサ(GPU)を使った処理に対応している。