中国Lenovo Group(聯想集団)が2016年9月に、米Googleが開発したAR(拡張現実)技術の「Tango」を搭載したスマートフォン「Phab 2 Pro」を499ドルで発売する。日本でも発売される予定のPhab 2 Proで何ができるのか。Lenovoが2016年6月9日に米サンフランシスコで開催したイベントで、実機を試した。

 LenovoのPhab 2 Proは、3D(3次元)空間認識技術であるTango(従来の名称は「Project Tango」)を世界で初めて搭載するスマホだ。Phab 2 Proは「モーション・トラッキング・カメラ」や「3D(3次元)深度カメラ」「加速度計」「コンパス」「ジャイロスコープ」などを搭載している(写真1)。

写真1●Phab 2 Proが搭載するカメラの種類
写真1●Phab 2 Proが搭載するカメラの種類
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 これらのカメラやセンサーを使って周囲の空間やスマホの動きなどを把握し、カメラで撮影した周囲の風景の中にリアルタイムで3D CGを描画したり、目の前にある物体の高さや幅を計測したりできる。実際に何ができるのか。Tangoの機能を使うアプリケーションを見ていこう。

部屋の中に「恐竜」や「家具」を配置

 米ニューヨークの「American Museum of Natural History(アメリカ自然史博物館)」が開発したアプリは、スマホのカメラで撮影した風景の中に、恐竜の3D CGを描画する(写真2)。恐竜の大きさを実感する学習用アプリという位置付けだ。スマホのカメラを動かすと、それに従って恐竜の見え方も変化する。カメラを近づければ細部が、遠ざければ全体像が見わたせる仕組みだ。

写真2●「American Museum of Natural History」のアプリ
写真2●「American Museum of Natural History」のアプリ
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 米国の家具販売店チェーン「Lowe's」は、Tangoで認識した空間の中にLowe'sが販売する家具を配置できるアプリを開発した(写真3)。部屋の中に家具を配置したらどれぐらいの大きさになるのか、カーペットを敷いたらどのような見た目になるのかを、事前に確認できるようになる。同様のアプリは米国のオンライン家具店「Wayfair」も開発している。

写真3●家具販売店チェーン「Lowe's」のアプリ
写真3●家具販売店チェーン「Lowe's」のアプリ
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 実用的なアプリもある。Googleが開発した「Tango MeasureIt」は、物体の幅や高さなどを計測できる(写真4)。ユーザーは画面をタップして、直線の視点と終点を設定する。同アプリは物体の輪郭(エッジ)を認識する機能を搭載しているので、物体の右端から左端までの長さを指定する。直線を複数組み合わせて長方形や立体などを作り、その面積や体積を計測する機能も搭載する。

写真4●物体の幅や高さを計測する「Tango MeasureIt」
写真4●物体の幅や高さを計測する「Tango MeasureIt」
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