パソコン(PC)の米Intelとスマートフォン(スマホ)の米Qualcomm。2016年4月第4週に発表した16年第1四半期で、米国の半導体大手が共に苦境に直面している。「クラウドとスマートデバイスへのシフト」を掲げ1万2000人をリストラするIntelだが、頼みにするサーバー市場は競争激化が見込まれる。
売上高 | 純利益 | 時価総額 *1 | |
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Microsoft | 205億3100万(▲5.5%) | 37億5600万(▲24.7%) | 3791億 |
Alphabet | 202億5700万(17.4%) | 42億700万(19.7%) | 4772億 |
IBM | 186億8400万(▲4.6%) | 20億1400万(▲13.5%) | 1450億 |
Intel | 137億200万(7.2%) | 20億4600万(2.7%) | 1475億 |
Qualcomm | 55億5100万(▲19.5%) | 11億6400万(10.5%) | 781億 |
EMC | 54億7500万(▲2.5%) | 2億6800万(6.3%) | 522億 |
Yahoo | 10億8700万(▲11.3%) | ▲9900万(-) | 351億 |
AMD | 8億3200万(▲19.2%) | ▲1億900万(-) | 46億 |
一連の決算発表で最も注目されたのはIntelだ。同社の16年1~3月期決算は売上高が前年同期比7.2%増の137億200万ドル、純利益が同2.7%増の20億4600万ドルと増収増益。それにも関わらずIntelは全従業員の11%に当たる1万2000人を削減すると発表したのだ。
同社は今回のリストラを「Intelを『PCの会社』から『クラウドと数十億個のスマート・コネクテッド・コンピューティング・デバイスの会社』へと進化させるためのものだ」と説明する。スマホの台頭によって、PC市場は縮小が続いている。成長が見込めるクラウドとスマートデバイスに経営資源を集中することで巻き返しを図る。
米調査会社のGartnerによれば、16年第1四半期の世界PC出荷台数は前年同期比9.6%の減少だった。Intelの16年1~3月期決算でもデスクトップPC向けプロセッサの出荷数量は同4%の減少、ノートPC向けは同2%の減少、タブレット向けは同44%の減少だった。デスクトップPC向けプロセッサの単価が同6%上昇したため、同社の「Client Computing Group」の売上高は同1.7%増加したが、かつてのような成長は望むべくもない。
デバイスの主役の座をPCから奪ったスマホだが、スマホ向け半導体大手である米Qualcommの業績も冴えない。同社の16年1~3月期決算は売上高が前年同期比19.5%減の55億5100万ドルで純利益は同10.5%増の11億6400万ドル。減収は4四半期連続となった。
Intel、Qualcomm共に成長分野として期待をかけるのが、クラウドとIoT(Internet of Things)、より正確に言えば、クラウドを支えるデータセンター事業とIoT向けのスマートデバイス事業だ。Intelは両事業の合計売上高が今後40%の成長が見込めると意気込む。15年10月に「ARM」アーキテクチャを採用したサーバープロセッサの出荷を始めたQualcommも、2020年にデータセンター事業で18億ドルを売り上げることを目標としている。
しかしデータセンター事業は、今後ますます競争が激化しそうだ。注目すべきポイントは二つ。米Googleと中国市場の動きだ。