「メッセージングがプラットフォームになる」。そう語るのは米FacebookのMark Zuckerberg CEO(最高経営責任者、写真1)。企業の会話ロボット(ボット)が「Facebookメッセンジャー」を通じてユーザーとやり取りする「Bots for Messenger Platform」を2016年4月12日(米国時間)に発表した同社がもくろむのは、ボットがスマホアプリや企業の電話窓口を置き換える未来だ。

写真1●米FacebookのMark Zuckerberg CEO
写真1●米FacebookのMark Zuckerberg CEO
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 Facebookは米サンフランシスコで4月12日に開催した年次イベント「F8」で、Bots for Messenger Platformを発表した。これはFacebookメッセンジャーを、企業とユーザーとをつなぐ「プラットフォーム」として公開する「Messenger Platform」の機能の一つ。企業はユーザーと会話をするボットをFacebookメッセンジャー上に公開できるようになる。ユーザーはボットと会話をすることで、企業が提供するサービスを利用するという仕組みだ。

ボットの機能はスマホアプリとほぼ同じ

 Facebookメッセンジャーにおけるボットの役割は、スマートフォンのアプリケーション(スマホアプリ)と同じと考えれば良い。例えば「Uber」のボットからは配車依頼ができるし、「CNN」のボットではニュースが読め、生花販売の「1-800-Flowers」のボットからは花束の注文ができる(写真2)。スマホアプリとの違いは、GUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)を操作するのではなく、ボットと「会話」をするという点だ。

写真2●Facebookメッセンジャーのボット画面
写真2●Facebookメッセンジャーのボット画面
左二つはUberのボット、その右は「CNN」のニュースボットの画面
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 ECサイト「Shop Spring」が公開したボットを例に、会話の中身を詳しく見ていこう。Shop Springのサイトにある「Send to Messenger」というボタンをタップすると、FacebookメッセンジャーにShop Springのボットが登録される(写真3)。ボットはまず「今日は何を探していますか?」という文面と「女性向けアイテム」「男性向けアイテム」という選択肢からなるメッセージを送ってくるので、それに答える。こうした質問からボットとのやり取りが始まる(写真4)。このような選択肢入りメッセージのことは「リッチバブル(バブルとは吹き出しのこと)」と呼ぶ。

写真3●Shop SpringのWebサイト
写真3●Shop SpringのWebサイト
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写真4●ボットとのやり取りの開始画面
写真4●ボットとのやり取りの開始画面
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