MNO(Mobile Network Operator)は、サービスエリアの構築のため無線ネットワークの設計を行っています。この無線ネットワーク設計が、「圏内・圏外」、「つながる・つながらない」、「スループットがどのくらいか」など、ユーザーが直接的に感じるワイヤレス通信のサービスの品質を決めていると言っても過言ではありません。この設計には多くのパラメーターがありますが、ここでは、圏内・圏外に大きな影響を与える回線設計とスマートフォンの無線性能に着目して議論を進めることとします(図7)。

図7●回線設計とスマートフォンの無線性能の関係
図7●回線設計とスマートフォンの無線性能の関係
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 一般に、基地局からスマートフォンに向けて構成される回線を下り(Down Link)、スマートフォンから基地局に向けて構成される回線を上り(UP Link)と言います。下りと上りでは、実は回線設計で注意するポイントが異なります。

 まず下りについて見ていきましょう。スマートフォンを使っている場所(受信点と定義します)における無線品質は、基地局の無線性能、スマートフォンの無線性能、さらにMNOが設定する「サービス性」を実現するためのパラメーターに基づいて決定されます。MNOが設定するサービス性とは、ユーザーに対して最低でもこのサービスを提供するために必要とする数値であり、MNOのサービスポリシーによって決まると考えていいでしょう。

 下りの通信では、電波を送信する基地局側と、受信するスマートフォン側の両方でのパラメーター設計が重要となります。