iPhone 6の無線性能の測定について説明します。一般的な無線性能は、電波法の設備規則などでも規定されており、最大送信電力、最低受信感度、スプリアス、帯域外輻射、変調精度、スループットなどいくつかの測定項目があります。今回はその中から最大送信電力と最低受信感度に着目して議論を進めます。

 最大送信電力は「TRP」(Total Radiation Power)として測定することが一般的です。スマートフォンのような小型な無線機は、内蔵されているアンテナから電波が放射されますが、同時にきょう体に流れる高周波電流による放射も発生します。空間に放射される電磁波の全てのエネルギーを合計したものとなります。これを定義したものがTRPなのです。また、最低受信感度は「TIS」(Total Isotropic Sensitivity)または「TRS」(Total Radiated Sensitivity)として測定することが一般的です。アンテナの特性を含めてスマートフォンに対する全立体方向から到来する電波を合計して受信されたものがTISとなります。

 TRP、TISは、後述しますがサービスエリア設計のために重要なパラメーターとなります。また、近年ではさらなるサービス性の向上のため、ユーザーの利用状況を加味した評価が必要となりました。iPhone 4における受信感度の問題も、実はこのTISが関係して居たのです。今回は、TRPとTISを「OTA(Over the Air)測定」により測定を実施しました。