フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が母校ハーバード大学の卒業式に登壇して話したスピーチが大きな話題を集めました。こうした話を聞くにつけ、米国企業の大学や学生に対する期待の大きさを実感します。

* スピーチは動画で見ることができる(YouTubeのサイト)。日本語字幕付きの動画もある()。

 日本の大学と違い、米国の大学の教授は人気商売です。研究に没頭している先生と、授業のための先生は違うようで、授業を担当する教授は学生からの評価で成績が決まるのだそうです。プロ意識が強い米国の大学と比較すると、日本の大学では実にがっかりさせられることがあります。

(提供=123RF)
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ハーバード流の授業に感銘

 私もハーバード流の授業を受けたことがあります。野村マネジメント・スクールが実施している「トップのための経営戦略講座」です。日本の有力企業から参加した役員クラスが70人前後、ホテルで3週間缶詰になって、ハーバード流の講義を受けるという研修プログラムです。ハーバード大学のマネジメントスクールの教授陣によるケーススタディーが目玉になっています。

 役員に就任したばかりだった私は、ハーバード流をかなり見くびっていました。テーマはいくつもありましたが、その中の一つがマイクロソフトでした。

 「マイクロソフトのことなら、教えてもらわなくてもよく知っている。何しろビル・ゲイツにもスティーブ・バルマーにも会ったことがあるのだから」。そう思って受けた講義でしたが、とんでもない。ハーバード大学の教授は私の好奇心をこじ開けて、感銘を与えてくれました。「確かに経営戦略とはこうして考えなければならないのだな」と実感しました。