先週は、サンフランシスコ中心部で開催された米オラクルの年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」に参加してきました。ラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)のカリスマは健在でさすがの一言でした。マーク・ハードCEO(最高経営責任者)もよく製品ラインをグリップしていると感じました。

 エリソン会長は基調講演で、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の領域でアマゾンを仮想敵に指名し、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)やSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を含めたパクリッククラウドの全方位で勝負を挑むとの意思を表明しました(関連記事:「競合はIBMではなくAmazon」、米OracleのEllison氏が宣言)。

 クラウドに挑む姿勢を熱く語るエリソン会長の話を聞きながら、私はちょっと引っかかりを感じていました。これほどクラウドを語りながらも、エリソン会長は「クラウドネイティブ」と言わないのです。

 そういえば、マーク・ハードCEOの講演でも「クラウドネイティブ」という言葉はなかったと思います。なぜだろう? としばらく考えて気が付きました。アマゾンとオラクルでは「クラウド」の意味が違うのです。つまりそれは、オラクルが来場者に伝えようとしているメッセージがアマゾンと正反対であることを意味します。

 このコラムの前々回でアマゾンのイベント「AWS re:Invent 2015」に参加したお話をしました(関連記事:AmazonがエンタープライズITを「ぶっつぶす」)。あの場では「クラウドネイティブ」が議論の中心の1つでした。