米国西海岸のIT企業では、プレゼンテーションの冒頭で「We are Technology company」というフレーズをよく聞かされます。これまでTechnology companyの意味をあまり深く考えたことはなかったのですが、よく考えてみると、とても重要な意味を持っているということに最近気づきました。

(提供=123RF)
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 かつてのIT企業は決してテクノロジーカンパニーではありませんでした。IBMも、IBMを追いかけるHPなどもセールスが極めて強い会社だったといえます。セールスの強い会社には「伝説の営業」がいて、営業出身の人間がトップを務めています。

 PC市場の成熟期に登場して、マーケットを変革したDell Computerにしても、サプライチェーンを改革したセールス・マーケティングの革新者であって、技術面のリーダーだったわけではありません。90年代にテクノロジーカンパニーを標榜していた会社は、単独の技術だけを追求していて、営業面で弱点を抱えているところが多く、時間が経つといつの間にか姿を消していました。

最古のテクノロジーカンパニーはマイクロソフト

 私が最古のテクノロジーカンパニーだと思うのはマイクロソフトです。エンジニア中心の会社だし、レッドモンドではエンジニアがみんな立派な個室で仕事をしています。けれどもビル・ゲイツ氏に続いてCEOになったスティーブ・バルマー氏はエンジニアではないし、バルマー氏の在任中はIBMの営業出身の人材を大量に採用して、IBMのカルチャーを受け継いだところがあると感じていました。

 先月、私は米国IT企業訪問で、西海岸のいわゆるテクノロジーカンパニーと、東海岸のセールスカンパニー、つまり従来型IT企業を立て続けに訪れてきました。短期間に数多くのIT企業を訪問したため、両者の違いがとても生々しく感じられました。今さら何をいっているのかといわれれば、そのとおりなのですが。