オラクルのマーク・ハードCEO(最高経営責任者)は年次カンファレンス「Oracle OpenWorld(OOW)2017」の基調講演で、2025年のクラウド市場について「企業ITの80%はクラウドサービスへシフトするだろう」と予想していました。

 オラクルが狙うのはクラウドが当たり前になった世界です。そこは同時にAWS(Amazon Web Services)やマイクロソフト、グーグルなどあらゆるIT企業が狙っている世界にほかなりません。しかもクラウドサービスは必然的に、どの企業が手掛けてもバーティカルソリューションになる傾向が強くなります。

 オラクルはデータベースをはじめとする得意な領域だけでなく、ワークデイやセールスフォース・ドットコムなどが提供している人事や経理などのアプリケーションサービス、AWSに対抗できるクラウドネイティブなPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)環境、さらにマイクロソフトが得意とするオフィスソリューションまでをOracle Cloudに取り込むつもりです。「全部入りのクラウドサービス」を狙っているのはAWSやマイクロソフト、グーグルも同じです。

(提供=123RF)
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クラウドを使うほどバーティカルな牢屋につながれる

 どのクラウドベンダーも自社の顧客企業を何とかロックインしようとしています。例えばAWSは、クラウドネイティブなアプリケーション開発プラットフォームとしてLambda(ラムダ)を提供しています。競争力の高いサーバーレスアプリケーションを素早く作れるようにするものです。

 ところが一度Lambdaを使って開発を始めると、そこから離れるのは容易ではありません。AWSを止めて他のクラウドサービスを使おうとしても、簡単にはいかないのです。