若い友人がズートピア(Zootopia)というディズニーのアニメ映画を紹介してくれました。肉食動物と草食動物が一緒に住んでいる動物たちの楽園の話です。ライオンが市長、羊が副市長を務めていて、主人公はうさぎのジュディ。彼女は真面目で正義感が強く、うさぎとしては初の警察官になります。

 ズートピアの詳細は映画を観ていただくとして、私の友人はこんなことを言っていました。

「私はうさぎにそっくりだと思うんです。自分では正しいことを求めていると思っているけれど、実は周りの影響を受けている。みんながこう言うと、それにすぐ賛同してしまう。でも正しいと思っていたことが偏見だったり、誰かに対する悪意だったりすることがきっとあるはずです」

 私はまだ映画を観ていないのですが、付和雷同するくせに自分が正しいと信じているうさぎというコンセプトはとても面白いと思いました。現実社会にいくらでもありそうな話だからです。

 豪腕で、方針を力づくで押し付けようとするライオン市長のようなCIO(最高情報責任者)。いろいろと画策しながらライオン市長の失脚を図る、羊副市長のような後出しジャンケンCIO。どこかのIT組織で見かけそうな話ではありませんか?

 さらに双方に振り回される、うさぎのようなITスタッフ。ITのことはどうでもよく、自分の都合ばかり考えるキツネのような間接部門スタッフ──。

 読者の皆さんも心当たりのある場面を想像できると思います。ズートピアならぬ「ITトピア」が私たちの周りに繰り広げられていると言ってもいいのではないでしょうか。

(提供=123RF)
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