来日したデルのCFO(最高財務責任者)、トム・スイートさんの話を聞く機会がありました。スイートさんはデルとEMCの合併により生まれた新会社、デル テクノロジーズの経営にも関わっています。

 合併からほぼ9カ月を経て、どんなことに苦労してデルとEMCの両社を統合してきたか、これから新会社の戦略をどのように進めていくのか。これらに関するスイートさんのプレゼンテーションの後に、私たちもいくつか質問する機会がありました。

 私は「EMCのフェデレーション戦略は、結果として全体的な整合性がうまく取れなかったのではないかと思っている。デルと統合して、どのようなメッセージが出てくるのか?」と少し意地悪な質問をしてみました。スイートさんはマイケル・デル会長兼CEO(最高経営責任者)がリーダーシップをどのように発揮しているのかに触れながら、今後の課題を説明してくれました。

* VMWareやPivotal、RSAなどEMCが買収した企業をグループ内の子会社や部門として緩やかに連携させることを指す。

 日本企業の財務担当役員には、顧客とのミーティングに出てくるイメージがほとんどありません。これに対し、スイートさんは自分の時間の30%以上を顧客とのコミュニケーションに充てているそうです。デルというテクノロジー会社において、彼の経営的な視点はエンジニアやマーケティングといった専門家の視点を補完するもので、経理課長がそのまま財務担当役員になったような専門家とはわけが違うなと感じました。

(提供=123RF)
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専門家を大事にする米国、出世の妨げになる日本

 海外でいろいろなイベントに参加したり、米国のIT企業を訪問したりしていつも感じるのは、米国の社会が日本よりもはるかに専門家を大事にするということです。最近のIT企業は特にその傾向が強いと思います。