2001年9月11日の夜、私は銀座の地下にある、とあるバーから一人抜け出して、暗い路地でノートパソコンを開いていました。

提供=123RF
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 インターネットに接続してYahooファイナンスのサイトから情報を取ろうしていたのです。その前年に野村総合研究所(NRI)と業務提携した米エクソダス・コミュニケーションズ(Exodus Communications)という企業が「チャプター11」(米国の法律に基づく倒産処理)を申請する可能性があるという知らせが入ってきたからでした。

 1994年に設立されたエクソダスは世界で初めてインターネットのコロケーションサービスを始めた企業です。当時、メディアなどでは「インターネットデータセンター」などと呼ばれ、もてはやされていました。1998年にはNASDAQに上場し、急成長する優良インターネット企業の代表格でした。最盛期の時価総額は2兆円を上回ったと記憶しています。

 コロケーションはもともと、通信事業者の用語で通信事業者のセンター内に別の通信事業者が機材を設置してサービス提供する形態を呼びます。

 エクソダスは強力なデータ回線によってインターネットに接続されたデータセンターを世界各地に用意し、インターネットサービス事業者のサーバーなどのシステムを、そこで預かってサービス提供できるようにしていました。

 インターネットブームの先頭を走っていた米ヤフーや米eBayといったネットベンチャーは、世界各地のエクソダスのデータセンターに自社のシステムを構築・設置しました。エクソダスのサービスは、ヤフーのように膨大なトランザクションを処理する必要のあるネットベンチャーのニーズを満たせたのです。