このところ気候がだいぶ穏やかになり、週末のゴルフが一段と楽しさを増してきました。IT業界の関係者とのゴルフでは業界各社のことを語る口調が一段と活発になります。先週もIT業界の様々な関係者と楽しい時間を過ごしてきました。このところ皆さんの関心が集まるのは私のこんな話題です。

楠「そもそも営業と技術の関係性とか役割がすごく変化してしまったんじゃないかと思うんですよ。今の最先端のクラウドカンパニーでは。AWS(Amazon Web Service)にしてもGoogleにしてもいわゆる『テクノロジーカンパニー』ですよね。営業なんてほとんどいないでしょう」。

A氏「営業という肩書きの付いた人はいますけれど、とても技術に詳しいですよね。昔ながらの営業はどんどん肩身が狭くなりますよ」。

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 以前にも書きましたが、日本のIT業界の構造は日本IBMが作ったと私は考えています。そこでは営業がビジネスをリードして、案件を作り上げていきます。

 日本IBM型のビジネスモデルでは営業が案件を仕切るし、技術は営業に従ってプロジェクトを完成させます。営業は技術の詳細を知らなくても、顧客関係に詳しく、キーパーソンが誰か、どこにどれだけ案件があるかを詳細に把握しています。それどころかキーパーソンの家族構成や趣味もしっかり把握しています。

 日本のIT業界は日本IBM型ビジネスモデルでどこの会社もやっているし、そこで育った人材も同じ考え方で育っています。

A氏「日本の外資系IT会社は『日本外資系IT株式会社』なんですよ。そこにいくつか事業部があって、最大の事業部はもちろんIBMですよね。以前はIBMを卒業した人たちが外資系IT株式会社を渡り歩いたわけです。IBM事業部からHP事業部へ行ったりオラクル事業部へ行ったりね。私はIBM事業部じゃなくて○○事業部の出身ですけど、まあ同じようなものですよ。入社した時のトップはやっぱり日本IBM出身でしたからね。トップと一緒に部下も大移動するんですよね。新旧のトップ交代で、両方ともIBM出身者なのにスタッフは全部交代みたいなこともありました。でもIBM出身のトップがやっている外資系IT企業も随分と減りましたね。大手ではDell EMCとセールスフォース・ドットコムぐらいでしょう」。

楠「そうだよね。日本IBMだって日本IBM出身者がどんどん減っているからね」。