前回はSoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)というキーワードについて触れました。

(提供=123RF)
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 米国のハイテク企業がSoEに価値を感じて大きな投資をしているのは分かったが、いったい具体的にどんな考え方をしているのだろう。そんなことを考えているときに、オープンID協議会の理事長も務めている野村総合研究所の崎村君がやって来ました。崎村君は今やデファクトスタンダードとなっているOpen IDの仕様を作成した第一人者で、Googleなどネットビジネスの開発者とも親交が深く、彼らの考え方をよく知っています。

楠「顧客とのつながりを作るSoEがネットビジネスの最大の経営資源なんだよ。GoogleもFacebookもそこに巨額な投資をしているわけだ。でもいったいどんな考え方で何をしているんだろうか」。

崎村「つながりを作るというと抽象的ですね。彼らはユーザーの足跡を追っかけていますね。どの画面でどんな操作をして、次にどこへ行ったか。ネットユーザーがどこで迷っているのか、どこで離脱しているのかを見て、アプリケーションのどこが分かりにくいのかを分析するのです。分析結果から、ネットユーザーが脱落するのを極力抑えようとしています」。

楠「なるほどね。そういえばこの前ダイレクトメールが来ていたので、ゴルフクラブを買おうと思ったんだけど、ショッピングカートまでたどり着いてから不具合が起きちゃって、そこでイグジットしてしまった。あれは使いにくいサイトだった」。

崎村「それはネットビジネスにとって最大の機会損失じゃないですか。買おうと思って店まで来たお客さんを店員が追い返したようなもんですよ」。

楠「顧客視点でアプリケーションを評価しているということだね。確かに違いがありそうだ」。