正月明けは新年の挨拶訪問が続きます。先週も外資系IT企業の幹部の訪問を受けました。

 外資系幹部「楠さんの言う通り、IT業界の変化は凄まじいものがあります。当社も製品ラインが大きく変化するので、今年は日本の営業体制を見直すことになります。でもNRIに対する営業体制は一本化しました。どんな製品ラインについても私を窓口にしていただければ万全の体制を作ります」。

 楠「ハードからソフトへ、モノからサービスへというトレンドですからね。これまでモノを売っていた営業がハードやサービスを売るようになるのは大変なことです。そういえばITproに木村さんが書いた記事がありました。外資系は日本市場を見限っているそうじゃないですか」(関連記事:客を見限る外資系ITベンダー、続「日本企業にソフトは売らない」)。

 外資系幹部「楠さんの連載もすごいですけど、木村さんの連載もいい感じで盛り上がっていますよね。でも私たちはソフトを売りたくて仕方がないのですけれど」。

(提供=123RF)
(提供=123RF)
[画像のクリックで拡大表示]

 木村さんの記事に私は異論はありません。日本市場でソフトウエアが売れないのは昔からのことです。それは日本のIT業界の構造に根ざしたものだと考えています。(関連記事:IBMが作った日本のIT業界構造を元IBM営業と語り合う)。

 メインフレームコンピュータ全盛の時代にあっても、日本市場でIBMが販売したソフトウエアは限られていたように思います。OSやデータベースソフトなどはハードウエアと一緒に販売されましたが、ハードに直接関係のないソフトウエアはあまり注目されませんでした。クラウアント/サーバー時代に入っても、様々なハードウエア製品が日本市場へ流入したのと裏腹に、ソフトウエア製品の日本進出は限定的でした。日本のソフトウエア市場は米国と比較するととても規模が小さかったのです。