少し前にAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やOracle Cloudなどのクラウドサービスがどれも垂直統合のクローズドなソリューションだという話を書きました(関連記事:垂直統合へ、先祖返りするクラウドサービス)。

 第一世代のコンピュータ、つまりメインフレームの時代、企業ユーザーはIBMにロックインされていました。CPUはもちろん、ストレージや通信機器といったハードウエアに始まり、OSやデータベースといったソフトウエアもIBM製品。ユーザーが自分で選択するのはプログラミング言語と自分の作るプログラムだけでした。ハードウエアも基本ソフトも全てを提供するやり方をバーティカルソリューション、あるいは垂直統合と言います。

(提供=123RF)
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 顧客が容易にコンピュータを変更できないようにすることは、IBMだけでなく、コンピュータメーカーの基本戦略でしたが、顧客企業はロックインとしてこれを嫌いました。バーティカルソリューションはロックインにつながる顧客囲い込み戦略の基本だったわけです。

 メインフレームのロックイン戦略と、それによるITコストの増大。この対抗策として生まれたのが第二世代、すなわちクライアント/サーバーシステムです。UNIXやWindwosはメインフレームに比べると、ユーザーが自分で色々な部品を選択しコンピュータのコストを大きく下げることができました。

 データベースサーバーはHP、データベースソフトはオラクル、ストレージはEMCなど、その分野に優れた製品を組み合わせてシステム全体を作り、メインフレームよりも柔軟で高性能なシステムを低コストに構成することができたのです。バーティカルソリューションに対して、クライアント/サーバー時代のやり方をホリゾンタルソリューションと言います。

 オラクルやマイクロソフトに代表されるホリゾンタルソリューションは、ロックイン戦略で顧客を支配するIBMに対抗する自由の戦士のように顧客企業から歓迎されたものです。