坂本 登史文(さかもと としふみ)氏
坂本 登史文(さかもと としふみ)氏
京都大学理学研究科修了後、大手メーカー系のシステム子会社で会計ソフトの導入を経験。その後、ディー・エヌ・エーを経て2014年3月、freeeに入社。データを駆使して顧客満足度を高める“グロースハッカー”として、同社の成長を支えている。

 会計ソフトのクラウドサービスを提供するfreee(フリー)で、グロースチームのリーダーを務めています。freeeのアカウント数は3月末時点で30万事業所に達し、ここ1年で約4.5倍と急激に成長しています。この急成長を今後も持続させていく使命を担うのが、我々グロースチームのメンバーです。

 データを収集・分析し、得られた数字を裏付けとして、お客様にとってより利用価値の高いサービスへと改善していくことが、グロースチームの業務です。とはいえ、改善策の具体的な方向性が固まったのは、実はここ半年ほどのことでした。

 freeeでは「決算書の作成が必要な法人事業者」と「青色申告書が必要な個人事業者」のどちらかで、アカウントを登録してもらっています。1年ほど前までは、法人と個人でお客様の行動パターンに大きな違いはないものと思い込んでいました。ところが、半年ほど前に実施したA/Bテストで、法人のお客様はAパターン、個人のお客様はBパターンの方が使いやすいという結果が得られたのです。

 例えば、アカウントの新規登録手続きの画面では、ユーザーに複数の画面を操作してもらうことで、一連の手続きが完了する流れになっています。次の画面に移るときに「次へ」といったリンクやボタンをクリックしてもらうのですが、画面のデザインや文言でクリック率が変わってくるわけです。