米ハーバード大学法学部のローレンス・レッシグ教授が、ついに民主党の大統領候補としての指名争いに立候補する。レッシグ教授は、シリコンバレーやテクノロジー業界とも関係の深い人物である。

写真●米ハーバード大学法学部のローレンス・レッシグ教授
写真●米ハーバード大学法学部のローレンス・レッシグ教授
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 レッシグ教授はハーバード大学に在籍していた1999年に著書「Code and Other Laws of Cyberspace」(邦訳:「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」)を発表、サイバースペースはコードとアーキテクチャーによってその性質が定められるとして、過剰な規制を排除するためにはその点に意識を向けなければならないと訴えた。

 2001年に設立されたNPO(非営利組織)「クリエイティブ・コモンズ(CC)」も、レッシグ教授が創設者の一人となっている。著作権は、法的に定められる50年間を超えて、場合によっては100年近く延長されることも多い。著作物がパブリックドメイン(著作権が存在しない状態)にならないことが、人々のクリエイティビティーを阻むと主張するレッシグ教授が、クリエーターが自分の著作権をコントロールできるようにと作ったプラットフォームがCCだ。

 利用している人も多いと思うが、CCでは自分が撮った写真などの再利用の方法を設定できる。クリエーターのクレジットは入れてほしいとか、作品に手を加えてもいいとかいったことを指定しておき、それを守れば他人が自由にその作品を使える仕組みである。

 このような取り組みの前には、米Microsoftに対する独占禁止法裁判で、レッシグ教授は裁判官に任命された「スペシャル・マスター(専門家証人)」を務め、膨大な資料を作り上げたことでも知られる。1997年当時、サイバースペースでのあるべき法律について、同教授ほど知識の深い人物はいなかったはずだ。

行動する教養人、次は政治に挑む

 レッシグ教授を一言で表現すれば「行動する教養人」となるだろうか。「サイバースペースのエルビス・プレスリー」と評されたこともある。要は巨人レベルの行動家だ。彼とは何度か話したことがあるが、非常に進歩的な考え方の持ち主で、それでいてまともな生活者の感覚も持ち合わせていると感じた。

 2000年から2008年まではスタンフォード大学に在籍し、「Center for Internet and Society(インターネットと社会のためのセンター)」を創設した。同センターは今でも、インターネットや新しいテクノロジーによって検討が必要になる法制度を考える場所になっている。ハーバード大学に再び戻ったのは2008年だ。