米グーグルや有力ベンチャーキャピタル(VC)などから5億9200万ドルもの投資を受けているが、いまだにその内情が明らかでない秘密の会社がフロリダにある。マジック・リープ(Magic Leap、写真1)だ。

写真1●マジック・リープのWebサイト
写真1●マジック・リープのWebサイト
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 マジック・リープは、オーグメンティッド・リアリティー(AR、拡張現実)のプラットフォームを開発している、というところまでは分かっているのだが、そのARプラットフォームがどのようなものなのか、どんなコンテンツがあるのか、どういった業界を対象としているのかなどが分からない。そもそも、同社のARがどの程度「すごい」ものなのかも想像がつかない。

 そんな中、同社の創設者でCEO(最高経営責任者)のロニー・アボヴィッツ氏とチーフ・クリエイティブ・オフィサーのグラム・ディヴァイン氏、チーフ・フューチャリストを務めるという有名作家のニール・ステファンソン氏の3人が6月2日(米国時間)、米「MIT Technology Review」誌がサンフランシスコで開催した「EmTech Digital」というカンファレンスに登壇した(写真2)。彼らが公の場に出てきて話をするのは、恐らく初めてのことだろう。

写真2●マジック・リープの経営陣
写真2●マジック・リープの経営陣
写真左2人目から、創業者で社長兼CEO(最高経営責任者)のロニー・アボヴィッツ氏、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのグラム・ディヴァイン氏、チーフ・フューチャリストのニール・ステファンソン氏
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VRとの違いは「めまい」の起こりにくさ

 ARは、ユーザーが専用のゴーグルと装着すると、現実に我々が裸眼で見ている世界とバーチャルの世界が合体する仕組みである。似た言葉であるバーチャル・リアリティー(VR)の方でも、最近は専用ゴーグルの実用化が進んでおり、米フェイスブック傘下のオキュラスVRや韓国サムスン電子、ソニーなどが製品を発表している。これらのVRゴーグルは、どっぷりとバーチャルな世界に浸かり、ゲームや映画などで3次元の不思議な体験をするというものである。