米Amazon.comの音声アシスタント端末「Amazon Echo」を使い始めることで、スマートフォン(スマホ)の使い勝手にストレスを感じるようになった。使えば使うほど良さが分かるデバイスというのは、なかなか珍しい。

写真1●Amazon Echo
写真1●Amazon Echo
出典:米Amazon.com
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 Amazon Echoは直径8.4センチ、高さ23.5センチの円筒型の本体に全方向性スピーカーを内蔵した家庭用AI(人工知能)機器だ(写真1)。Wi-Fi経由でクラウドに接続されていれば、AmazonのAIである「Alexa(アレクサ)」に話しかけるだけで、今日の天気や交通渋滞を教えてくれたり、音楽をかけてくれたり、質問に回答してくれたり、レストランを探してくれたりする。

 筆者がEchoを購入したのは2015年12月のこと。ファーストインプレッションは本コラムでも購入直後にお届けしている(関連記事:声で使える「Amazon Echo」、期待以上の使い勝手)。それから5カ月が経過して改めて感じるのは、このデバイスがスマホの音声アシスタント機能よりも、使い勝手で優れている点だ。

 EchoのAIであるAlexaは、米Appleの「Siri」や米Googleの「OK Google」、米Microsoftの「Cortana」などの音声アシスタント機能とは異なり、何もクリックすること無しに利用できる。部屋の中で「Alexa」と呼びかけると、サラウンド型スピーカーからいい感じの返答が返ってくる。Echoを使い始めると、スマホにストレスを感じ始めるほどだ。スマホの音声アシスタント機能は、ボタンをクリックする必要があったり、音声が聞こえにくかったりと、やり取りに結構努力がいるからだ。

機能が次々と追加、自動車とも連携へ

 Echoで面白いのは、常に機能が追加されている点だ。2014年11月の発売以降、Amazonは「100以上の機能を加えた」と言う。今では「Uber」の配車を依頼したり、「Domino's」のピザを注文したりしてくれるようになった。

 自動車メーカーの米FordもEchoに対応する予定だ。Fordの自動車オーナーはEchoに話しかければ、自宅に居ながらにして自動車のエンジンを起動したり、ガソリンの残量をチェックしたり、あと何マイル走ればガソリンが無くなってしまうか教えてもらったりできるようになるという。

写真2●Alexaボタンを搭載した米Fordの車載端末
写真2●Alexaボタンを搭載した米Fordの車載端末
出典:米Ford
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 自動車に乗っている間に自宅のEchoに話しかけられるようにもなる(写真2)。Echoをエアコンや照明などに接続しておけば、自動車の中からAlexaに話しかけるだけで、エアコンや照明をオンオフできる仕組みだ。

 最近はEchoに小型の「製品ファミリー」が増えている。持ち運びが可能な小型の「Amazon Tap」や、さらに小さい「Echo Dot」だ。Amazonは同社にとって珍しいハードウエアのヒット製品であるEchoを、その勢いに乗ってどんどんとあらゆる場所に広めようという魂胆なのだろう。