サンフランシスコで2016年1月20~22 日に開催された、米O’Reilly Mediaによる「O'Reilly Design Conference」に参加した。O’Reillyといえばビッグデータやオープンソース・ソフトウエアなど、テクノロジー業界の新しい動向を捉えた会議を開催してきたことで知られるが、デザインをテーマにした会議は今回が初めて。シリコンバレーにおけるデザインへの関心の高まりに合わせたものと言える。
シリコンバレーで他社に先駆けてデザインに力を入れてきたのは、何と言っても米Appleだが、デザインへの関心はアプリケーションやインターネットサービスを開発するあらゆるテクノロジー企業へと広がっている。
かつてはデザイナーがテクノロジー企業に在籍していることすら珍しかったほど。しかし、現在ではデザイナーはひっぱりだこ。米Googleもデザイン会社を数社買収しているし、米Airbnbのようにデザイナーがスタートアップを起業する例も増えている。デザインは、シリコンバレーのテクノロジーを作る上で重要な要素になっているのだ。
そんな中で興味深い動きとして、ベンチャーキャピタル(VC)にデザイナーが「パートナー」(重役)として加わるケースが増えていることが挙げられる。
有力VC、KPCBのパートナーは有名グラフィックデザイナー
代表的なのが、有力VCである米Kleiner Perkins Caufield Byers (KPCB) に数年前、有名なグラフィックデザイナーであるJohn Maeda氏が参画したことだ。同氏は、もともとマサチューセッツ工科大学のメディアラボで教えた人物で、その後はロードアイランド州の美術大学、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの学長を務めていた。2013年にその彼がKPCBに移籍したことは、当時デザイン界で大きな話題になった。
さて、今回のO'Reilly Design Conferenceでは、そのJohn Maeda氏がモデレーターを務めるセッションが行われ、同じようにVCで仕事をする元デザイナーらが登壇した(写真)。テクノロジーとデザインの関係をいろいろな観点から議論した、その様子を紹介しよう。