今回は、BABOK Guide V3の「要求アナリシスとデザイン定義」という知識エリアについて解説する。まずは、要求とデザインについて説明しよう。

 従来のV2では、要求に焦点が大きく当てられていた。BABOK Guide V3では、ビジネスアナリストはイニシアチブ(目的と目標を定義して取り組む作業で、プロジェクトの前後の活動を含む)におけるデザインの定義にも、ある程度の責任を持つことになった。

 デザインに関する責任の度合いは、ビジネスアナリストの作業の考え方により大きく異なる。要求はニーズに焦点を当て、デザインはソリューションに焦点を当てるとしているが、この違いも明確ではない。要求から導かれたデザインが、新たな要求の発見と分析につながることがあるので、この焦点の変化は捉えにくい。ビジネスアナリシスが複雑になれば、繰り返しが発生する。要求を使用してデザインを定義し、そのデザインを使用して、新たな要求を引き出し、またその要求を使用してさらに詳細化したデザインを定義する、という具合だ。

 要求とデザインの分かりやすい例を紹介する(表1)。

表1●要求とデザインの例
表1●要求とデザインの例
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 表中のデザインの例は要求の一部だと感じるかもしれない。例えばソフトウエアの詳細設計を担当する人から見れば、上記の内容は設計のレベルとはいえないだろう。そういう意味もあり、「設計」とは表現せずに「デザイン」というカタカナ表記を使用している。