業務・システムに対する要求を引き出し、分析して、ソリューションを考える。そんな要求に関係する活動の知識体系として、国際標準と位置づけられるのが「BABOK(Business Analysis Body Of Knowledge) Guide」だ。2015年4月に、その新しいバージョン3(V3)が発表された。BABOK Guide V2が2009年発行されてから6年振りの大改訂である。

 現在、筆者が所属するBABOK推進団体のIIBA(International Institute of Business Analysis)日本支部が、日本語訳を進めている。近い将来、IIBA日本支部から具体的日程などをアナウンスするのでお待ちいただきたい。この特集では、日本語訳の発行に先だって、BABOK Guide V3について解説する。

 BABOKは、業務・システムの要求に関係する幅広い活動を対象とした知識体系だ。ビジネスアナリストと呼ばれる専門職種にとどまらず、業務改革やシステム開発・保守に携わるビジネスパーソン全般にとって、学ぶ価値が高い。業務・システムの要求に関する知識を深められるのに加え、要求に関わるシステム企画や要件定義、システム運用保守などのやり方を改善するヒントになる。

 第1回の今回は、BABOK Guide V3の概要と大幅改訂の狙いについて解説する。

変革を遂げたBABOK Guide V3

 プロジェクトの成功からビジネスの成功へ。これが新しいBABOK Guide V3の基本的な考え方である。

 従来のBABOK Guide V2はどちらかというと、プロジェクトの中でいかに要求を実現するかに重点が置かれてきた。しかし、いくらプロジェクトでソリューションを適切に作ったとしても、ビジネスに貢献できる(ビジネスを成功に導くという意味)とは限らない。