今回の実践編第1回(現場の知恵でシステム運用?そこにプライバシー影響評価)ではプライバシー影響評価の効果について述べ、第2回(どうなっている?あなたの街のマイナンバー)ではこれによって分かることについて説明した。ただ、既に実施されているプライバシー影響評価には問題点もある。第3回では、この点について述べたい。

 現在、日本で実施されている特定個人情報保護評価には三つの問題点がある。一つ目は、評価書が読みづらい点だ。二つ目は、評価書に記載すべき事項について誤解が多いこと。三つ目は、国民が意見を述べる機会を限定してしまっている点だ。

必要なのは分かりやすい説明

 プライバシー影響評価は、誰がどのような個人情報を取り扱う際にどんなリスクが潜んでいるのか、リスクを防止するために、どのような対策が考えられるか検討し、結果を公表するものだ。それによってプライバシーに配慮した業務を遂行するとともに、個人情報を取り扱われる側と具体的なコミュニケーションを図るというのが本来の目的だ。

 しかし公表されている評価書は読みづらいものも多い。個人情報を取り扱われる側が読んでみても、どのような個人情報がどう扱われて、具体的にどのようなプライバシー対策が講じられるか分かりづらい。いわゆる行政文書のような難しい書き方になってしまっているためだ。

 これでは一般の個人が読んで理解できないばかりか、個人情報を取り扱う側と取り扱われる側がコミュニケーションをするという本来の目的も実現できない。