「食品スーパーと実用衣料品店を隣り合わせで配置すると集客効果が高い」「エスカレーターの前は来店客が立ち寄りやすい」─。

 食品スーパーを中核とした比較的商圏の狭いショッピングセンターは、こんな“常識”に基づいてテナントが配置されることが多い。食品と実用衣料品はいずれも主婦が顧客で、隣り合わせに配置することで買い回りを促せる。来店客のほとんどが使うエスカレーターの前は、人通りの多い一等地というわけだ。

 ただし「こうした“常識”を裏付けるデータはない」と、ピーアンドディコンサルティング(さいたま市)の溝口隆朗代表取締役は指摘する。データできちんと裏付けるべく、溝口氏は自社で運営する商業施設「UNICUS(ウニクス)」の2拠点で、来店客の動線分析を開始した。旧「ウニクス三芳」(現在は大和情報サービスが運営する「アクロスプラザ三芳」に改称)と「ウニクス鴻巣」である。

客数の「変動パターン」で分析

 動線データは、テナント出入り口の天井に配備した専用カメラで収集する。テナントを出入りする来店客数やテナントの前を通り過ぎる来店客数などを映像からカウントするやり方だ(図1)。構造計画研究所が販売する独Vitracom社の動線分析ソフト「SiteView」を使い、リアルタイムに自動カウントしている。

図1●ウニクス鴻巣で実践している動線分析のシステム
図1●ウニクス鴻巣で実践している動線分析のシステム
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