物流企業のDHLサプライチェーン(DSC、東京・品川)も2011年から動線分析に着手。分析結果を業務改善に生かしている。

 世界最大の物流企業、ドイツポストのグループ企業であるDSCは、自社所有の倉庫スペースを企業に貸し出し、物流作業を請け負う物流アウトソーシングを中核事業とする。顧客との契約は数年単位で更新するが、そのたびに競合他社に乗り換えられるリスクが発生する。更新のタイミングで顧客に新たな提案をし、DSCを使い続けるメリットを訴求する必要がある。例えば、倉庫内の作業スペースを圧縮し、更新後の契約料を引き下げるといった提案だ。

 このため、DSCでは以前から改善活動に取り組んできた。「提案につながる改善策を検討するうえで、動線分析に注目するようになった」と小林祐一オペレーションエクセレンスデュプティマネージャーは話す。作業員の行動を動線データとして把握すると、ムダな動きやムダなスペース、レイアウトの不適切さなどを定量的に把握できるからだ。

 改善策の推進に当たって現場の合意を得られやすいというメリットもある。社内で業務改善を推進する立場の小林デュプティマネージャーは、「我々が現場に入って改善策を推進しても、現場が納得しなければ、すぐに以前の状態に戻ってしまう。動線分析で改善効果を現場と共有すれば、目標達成に向けて現場のモチベーションを維持できる」と話す。