Windows Phoneは、やはりブレイクしていない。誰しもが思っていることだろう。スマホ関係の売れ筋ランキングなどで、10位までに顔を出したのを目にした記憶もない。業界関係者に聞いても、「売れ行きは芳しくない」という答えばかりが返ってくる。

 もうWindows Phoneが日の目を見ることはないのではないかと思う今日この頃だったが、ようやく“大物”がリリースされた。

 日本HPの「Elite x3」は、「3in1」と銘打たれたデバイスだ。単にスマホとして使うだけでなく、「Windows Continuum」と呼ばれる機能により、パソコンのように使えるのが特徴だ。専用ドックとディスプレイをケーブルでつなぐ。CPUが高速なので、よいレスポンスが期待できる。

 このElite x3は、Windows Phoneに魅力を見いだせていないユーザーにとって、食指を動かしたくなる製品となっているだろうか。主にビジネスユーザーを狙っているとは思うが、コンシューマ向けの視点を交えつつレビューしていこう。

遅れてきたWindows Phone「HP Elite x3」がいよいよ登場した。(撮影:アバンギャルド、以下同じ)
遅れてきたWindows Phone「HP Elite x3」がいよいよ登場した。(撮影:アバンギャルド、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]

端末のデキは素晴らしく価格に見合う

 スマートフォンとして見た場合の完成度は、素晴らしいのひと言だ。最近のスマホは、どの製品もユーザーに迎合しすぎていると思う。人気のあるカラーを用意しようとするから、金や白がやたらに目立つ。

 だがElite x3は、我が道を行っている。ビジネス向けを重視しているからだろう、本体はツヤのない黒で、下部にクロームメッキのパーツが配されている。この部分がスピーカーになっていて、「B&O」のロゴが付いている。おなじみの「Bang & Olufsen」製スピーカーというわけだ。

 このクロームメッキ部分は厚みが感じられ、ちょっと高級な仕上げだ。肝心のスピーカーの音はまずまずだ。一般的なスマホよりは音質がよく、音量もやや大きいものの、外付けのBluetoothスピーカーと比べると大きく劣る。映画を観たり音楽を聴いたりするのには、物足りないかもしれない。

 ガラスはフチがおだやかなアールを描いており、細かな接合部分のアラも少ない。また、ディスプレイは2560×1440ドットの有機ELを採用しており、色が鮮やかで非常に美しい。サイズは5.96インチと、ほぼ6インチの大画面モデルとなっている。手の小さな人にはつかむのが厳しそうだが、僕としてはこのくらいの大きさは許容範囲だ。

 後述するが、WindowsPhoneでは、Officeアプリを使うことも多いだろう。ならば、画面は大きなほうが有利だ。

背面は黒一色で、金属の質感を活かした美しい仕上げだ。
背面は黒一色で、金属の質感を活かした美しい仕上げだ。
[画像のクリックで拡大表示]
本体下部のメッキ部分にスピーカーが内蔵されている。
本体下部のメッキ部分にスピーカーが内蔵されている。
[画像のクリックで拡大表示]
「iPhone 7 Plus」(右)とサイズを比較したが、ほぼ6インチだけに一回り大きい。
「iPhone 7 Plus」(右)とサイズを比較したが、ほぼ6インチだけに一回り大きい。
[画像のクリックで拡大表示]