「iPhone 8」が登場して10日ほど経った。毎回のことだが、発表前からその仕様について、ウワサが飛び交っていた。今回はそうしたウワサやリーク内容はかなり当たっていたようだ。iPhone 8と「iPhone X」が登場し、予想通り、iPhone 8のデザインは「iPhone 7」とほとんど変わらなかった。

 変化の小ささにガッカリしたという声も多かったし、テレビに写るApple Store前の行列は、悲しくなるほど少なかった。発売日には「行列が少なかったですね」という会話を、何人もの人とすることになった。

 だが、冷静に考えてみたら行列ができるだけすごいのではないか?

 Androidの話題の新スマホ「Galaxy S8」が発売されたとき、僕の知る限り行列はできなかったはずだ。僕が購入した店舗では、色を選ばなければ在庫もあった。スマホがこれだけコモデティ化しているのに、まだ行列ができるiPhoneは、やっぱりすごく人気があると思う。

 僕自身、iPhone 8を1週間ほど使ってみて、前評判や世間で言われるほどガッカリするデバイスではないと思う。今回はその魅力を詳しくチェックしていこう。

相変わらず箱の演出は素晴らしい。本体がエンボス加工されている。今回は背面になっている点がポイントだ。(撮影:アバンギャルド、以下同じ)
相変わらず箱の演出は素晴らしい。本体がエンボス加工されている。今回は背面になっている点がポイントだ。(撮影:アバンギャルド、以下同じ)
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正面から見ると「iPhone 7」とほとんど変わらない
正面から見ると「iPhone 7」とほとんど変わらない
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変わらないのが問題なのか

 iPhoneのデザインが、ここ数世代変化がないことに、僕もちょっとガッカリしていた。でも最近は、そうも思わなくなってきた。

 iPhone 8の見た目はiPhone 7とほとんど変わらないが、本体は素材まで変更して「フルモデルチェンジ」している。つまり、アップルはiPhoneの形としてこのスタイルを定着させようとしているのだ。目先を少しばかり変えることに価値はないと考えているのだろう。

 まあそう考えると、僕を含めたユーザーはちょっと期待しすぎていたのかもしれない。

 例えば、MacBookはデザインをほとんど変えずに売り続けているではないか。もはや、外観を見ただけではいつのモデルなのかさっぱりわからない人も多いだろう。

 それでも、一定の人気を保っているし、「お洒落なパソコン」というイメージはしっかりと確立している。ひんぱんにモデルチェンジするWindowsパソコンよりも、デザイン面では成功していると言わざるを得ない。

 今回行列に並ぶ人が少なかったのは、iPhone Xが控えているからだろう。僕のように、iPhone Xを買うと決めているユーザーも多いはずだ。「iPhone 8がイイ」と思っているユーザーの中にも、とりあえずiPhone Xを見てから考えようとしている人が少なくない。

 いくつかの理由で盛り上がりに欠けているiPhone 8だが、前評判ほど悪いとは思わない。実物を見ると、予想はいい意味で裏切られる。ガラス製の背面が、とにかく美しいのだ。

ガラス製の背面はとにかく美しい。
ガラス製の背面はとにかく美しい。
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従来はボディーサイドと背面が一体化されていたが、iPhone 8は別パーツになっている。
従来はボディーサイドと背面が一体化されていたが、iPhone 8は別パーツになっている。
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