パソコンやスマホが普及し、紙に文字を書く機会がどんどん減っている。僕が物書きになったおよそ30年前には、原稿を手で書いている人が大勢いた。パソコンやワープロ専用機で入力した原稿を、プリントアウトして納品するケースが増えてきて、今や原稿はすべてデータで納品するようになった。企画書など、ビジネスの書類でも手書きはほとんど見る機会がない。
だが、手書きならではの良さは、依然として見逃せない。アイデアをまとめるときに紙とペンはかなり役立つ。文字と図を殴り書きしていくのは、手書きでなければ難しいものだ。また、ホワイトボードなどを使った打ち合わせの記録は、やっぱり手書きのほうが見やすい。
僕は、手書きとデジタルのいいところ取りをした、タブレットや2in1パソコンのディスプレイに直接書く、「デジタル手書き」を好んでいる。
今回は、逆からアプローチしている製品を紹介しよう。ワコムの「Bamboo Slate」シリーズは、紙に手書きをした情報をデジタル化し、記録していく。
専用のボードとペンを組み合わせて、紙はサイズがだいたい合っていれば何でもいい。ボードの上に紙を置いて書き込むと、ペン先の位置情報を記録し、それを文字として認識するわけだ。
言うまでもなく、書き味は通常の紙とペンなので、ディスプレイにスタイラスペンで書くときのように滑ることなく、快適だ。その使い勝手や良いポイント、課題などを洗い出していこう。
質感は上々で持ち歩きも楽だ
今回は、A5サイズのBamboo Slateを中心に話を進めていく。重量は264グラムと案外軽く、バッテリーは充電式で8時間駆動する。この軽さなら持ち運びも余裕だろう。もちろん、追加で紙の重さがプラスされるが、そちらも大したことはない。メモ帳は厚さ8ミリまで対応するので、僕ならロディアのノートを使うだろう。
ちなみに、A4モデルは472グラム、Bamboo FolioはA5で460グラム、A4で810グラムとなっている。
本体の質感がなかなか良く、正面は細かなドットが入った合皮のような質感で、背面は少し目の粗い布。手触りが良い上に滑りにくいのも評価できる。背面の「BAMBOO」というロゴはオレンジ色の刺繍が施されている。
ペンの質感もなかなか良く、手触りも良好。重量バランスや太さも文句なしで、快適に書ける。基本的にボールペンなのだが専用タイプで、筆圧も感知するようになっている。