この連載ではSEから営業職に転向した人に向けて、SEの強みを生かした「ロジカルセールス」の進め方を筆者の経験とノウハウを基に説明しています。

 前回(受注につながる商品説明、価値を絞り込んで印象付け)はターゲット顧客への初回訪問時の商品説明を取り上げました。商品の機能や特徴といった「価値」を顧客のニーズに合わせて絞り込み、印象付けるテクニックを使うことが大切だとお話ししました。

 今回はその続きです。商品説明での間接価値の使い方や、前回ご紹介していないテクニック、顧客の絞り方を説明します。

商品説明に役立つ間接価値

 顧客に提供する価値には、顧客の直接的なメリットにつながる「直接価値」と、顧客のメリットにつながる可能性のある商品に関わる情報である「間接価値」があるというのは、この連載で何回かご説明しました。詳しくは第5回をご覧ください。

 中でも間接価値は多様で種類もたくさんあり、説明する際の使い方が分かりにくいものもあります。しかし、うまく使えば受注の確度を高めることができます。ここでは、読者の皆さんに共通する五つの間接価値を取り上げます。

●導入事例

 他社がその商品を導入して効果を上げているからといって、自社で同じようにうまくいくとは限りません。それでも商品説明の際に「導入事例」を挙げることには大きな効果があります。

 「この大手企業が導入している」「当社と同じ業態のこの企業が導入している」──。こうした事実が、顧客に対して大きな安心感を与えるからです。