この連載ではSEから営業職に転向した人に向けて、SEの強みを生かした「ロジカルセールス」の進め方を筆者の経験とノウハウを基に具体的に説明しています。

 前回(システム開発の仕事は「成果が確実」、営業は「不確実」)はイントロとして、SEと営業の仕事の違いや、SE出身の営業職のメリット、デメリットを説明しました。今回からは、具体的な営業方法の説明に入ります。

 商品の情報を提供する、リード(引き合い)を獲得する、といった営業活動で、いまやインターネットは欠かせません。ただ、営業活動がネットだけで完結することはめったにありません。多くの場合は、営業担当者が実際に顧客と対面で折衝し、最終的な受注を獲得しています。

 なのでネット全盛の現在でも、顧客との対面営業をいかに進めるかが大切になります。今回から、以下の営業シーンのそれぞれで、どのようなアクションを採るべきか、それらのアクションがどのようなロジックに基づいているかを、エピソードを交えつつ解説します。

  • アポイントメント
  • 訪問(環境準備、会社説明、商品説明)
  • クロージング
  • 値引き対応

 営業活動の第一歩は、顧客訪問のアポイントメントを取ることです。今回と次回は、アポイントメント(アポ)について見ていきます。

電話でのアポ取りは苦労の連続

 商品・サービスに関して、ネットで問い合わせてきた。セミナーや展示会に来てくれた──。こうした人に対し、訪問のアポを取るというのは営業ではよくあります。

 ネットから問い合わせてきた人に対するアポは、比較的取りやすいものです。その人はそもそも製品やサービスに興味があって、連絡しているからです。