安倍首相の一声で始まった携帯電話料金の見直し。12月18日には高市早苗総務大臣から3キャリア社長にスマートフォンの料金負担の軽減などに関する要望書が手渡された。今後それを受け、安くなって行くのか、興味深いところだが、わが家では妻が何年も使い続けているauのガラケーが12月に更新時期を迎えたので大急ぎでiPhoneにMNPした。「業界最安値」とうたっていた「楽天モバイル」にネタのつもりで挑戦してみた。しかし、その後の複雑な経過は尋常ではなかった。1回で終わらせるのはもったいないほどのネタ満載。

 読者の皆さんがこんなトラップにハマらないように、経験談を開示しておこう。

料金値下げ要請が出る前のビミョーな時期。困難なサービス選択

 2015年9月11日の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が突然「携帯料金の家計の負担軽減は大きな課題だ」と発言し、高市早苗総務相に対応を指示した。これを受けて高市総務相はすぐに「ICTサービス安心・安全研究会」において、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」を実施。携帯電話料金の引き下げに関する議論を進めた。

 議論は世界の柔軟かつ多様性に富んだ携帯通信サービスに大きく遅れを取る日本のサービスを改善し、世界の中で競争力を高めるという方向には進まず、「端末0円」に加えてMNPして流入してきたユーザーには高額のキャッシュバックを付けるといった異常な販売形態の見直しなどが中心になってしまった。結局12月18日、総務大臣からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの三大キャリア社長に「スマートフォンの料金負担の軽減、および端末販売の適正化に取り組むように」との要望書が手渡された(図1)。

図1●山本(高市)早苗総務大臣が三大キャリアの社長に手渡した要望書
図1●山本(高市)早苗総務大臣が三大キャリアの社長に手渡した要望書
スマートフォンの料金をライトユーザーや長期利用者にも対応した多様な料金プランや行き過ぎた購入時キャッシュバックなどを是正するよう求めた。(出所:総務省)
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