抱えている仕事をもっと短時間に片づけたい、しかも生産性もトコトン高めたい。プロジェクトメンバー内で情報共有を進め、モバイルでも統一環境を作りたい。そんなぜいたくなリクエストに短時間で答えてくれるのがFileMakerだ。11月の最終週、3日間にわたって開発者、ユーザー・ニーズを包括的にカバーするカンファレンスが開かれ、ますます「頼りになる存在」になってきているのを実感した。日本法人のビル・エプリング社長などキーパーソンのインタビューを交えて情報のアップデートをしておこう。

iPadで運用するカスタムアプリを迅速に構築

 FileMakerはカテゴリーとしてはデータベースに分類されるアプリケーションだが、ドラッグ・アンド・ドロップでユーザーインタフェース(UI)部分を柔軟に設計できる、処理を自動化するスクリプトは処理を順番に並べて行くだけという簡便さが特徴だ。プログラミングをほとんどせずとも複雑な自動処理を組み込んだ「iPadアプリケーション」が短時間に完成させられる(図1)。

図1●日本語の処理手順(スクリプト)を並べて行くだけで、データの自動処理が行える
図1●日本語の処理手順(スクリプト)を並べて行くだけで、データの自動処理が行える
日本語で「変数を設定」「検索条件」「スクリプト実行」などと並べて行くだけで、一連の自動処理が組み立てられる
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 iPadで入力、加工したデータはVPNなどのセキュアな通信手段を通じて現場から拠点に装備したFileMaker Serverに送り込まれる。これでこのサーバーに接続できる他のFileMakerクライアントとの仕事の共有ができる。

 高性能なデータベースアプリケーションはオープンソースの製品を含めて多数存在するが、グラフィックアプリケーションを操作するがごとく自在にUIとデータ処理機能を組み込め、iOSとPC環境を融合させて使えるアプリケーションスイートは他にない。

 こうしたメリットを評価して、最近はFileMakerの業務への本格導入・大規模導入が盛んに進められている。

 カンファレンスのタイミングに合わせる形で発表された、高速道路の保守管理を受け持つネクスコ・メンテナンス東北 十和田事業所での導入事例はそんな事例のひとつだ。