Mac上でWindowsやUNIXを動かす仮想環境の一つ、Parallels Desktopがバージョンアップして12となった。各種ある仮想環境の中でも、ParallelsはMacの操作性を活かした製品設計となっていて、ストレス無く使えるお薦めの製品だ。新版は動作スピードが向上し、Windows環境のバックアップが増分のみできるようになり、画面ショット/画面のビデオ録画/起動アプリ以外隠す機能などを盛り込んだParallels Toolboxが追加されるなど、注目のアップデートがたくさん入ってきた。

12にアップグレードすべき改良点とは

 Parallelsは2006年の登場以来バージョンアップを繰り返し、今回が12版目。果たしてバージョン12となったParallels Desktop for Mac、どんな仕上がりになっているのか、早速使ってみた。記事の後半では米パラレルスのシニアプロダクトマネージャー、カート・シュマッカー氏と日本法人の代表取締役下村慶一氏のインタビューも掲載した。

 私としては、これで十分やりたいことはできる、と満足して使っていたが、しかし、まだまだやれることはたくさんあった、ということだ。新版Parallels Desktop 12 for Macは8月23日、日本でも販売が開始された(図1)。

図1●新版Parallels Desktop 12 for Macが登場した
図1●新版Parallels Desktop 12 for Macが登場した
多くの新機能、向上したパフォーマンスでさらに快適にWindowsが動作するようになった。
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 Parallels Desktop 12 for Mac(以下PD12)にアップデートすべき最大の理由は全体のパフォーマンス向上とWindows利用環境も含めた全体の使い勝手、利用価値の一段の向上だ。

 パフォーマンス向上の中でも、バックアップの性能向上などは忙しいビジネスパーソンにとてもうれしいポイントだ。例えば、Widowsの環境をそのまま”型取りして保存しておく”ような機能「スナップショット」は従来に比べて90%も向上しているという。PD12をいれると、旧PD11は削除されてしまうので、同一マシン上でのパフォーマンスチェックができないことから、筆者の作業環境でこの両者のベンチマークテストができなかったが、確かに、あっという間にスナップショットが取れる。これで、何か新しいアプリをインストールした後に、不都合が出て元に戻したくなった場合に、即座に元に戻れる。

 さらに、仮想マシンを終了するときに、その状態を保存しておくサスペンドの動作も60%も向上、さらに、共有フォルダーへの操作も25%向上しているという。Mac上で作業していて、たまにWindowsアプリを立ち上げ、また元のMacだけの作業に戻りたい、といったときにも時短効果が高い。これは精神衛生上、とても良い。Mac本体の内蔵メモリーをさまざまなアプリケーションが使い切ってしまっているときの仮想環境のレスポンスもなかなか良い。使用残りメモリーが数100MBくらいになってしまっても、Windows環境での動作がそれほど遅くならないのは実際に体感できた。以前は残りメモリーが数100MBになってしまった場合、ぎくしゃくと引っかかるような感じになったり、スリープ状態にあるWindowsが再び利用可能になるまでしばらく待たされたが、確かにそれらがなくなった。