情報処理を伴うアプリケーションを短時間で作れ、自分好みのカスタムユーザーインタフェースを簡単に用意でき、しかも、Mac、Windows、iOSデバイスに同じアプリを展開できるというFileMaker。5月13日、新登場したFileMaker 14製品ラインでは新たにAndroid機を含むモバイルブラウザーへもWebアプリケーション配信ができるようになり、ぐんとクロスプラットフォーム性が増した。利用者環境としてAndroidタブレットも外せない、という利用者にもこれは朗報だ。ファイルメーカーの幹部インタビューも合わせてご紹介する。

心強い、Android正式サポート

 MacとWindowsの両環境に対応するFileMakerの存在は、本コラム読者ならよくご存知のことだろう。アプリケーションのカテゴリーとしては「データベースソフト」だが、ユーザーインタフェース(UI)を作るための組み込みツールが充実しており、あたかもグラフィックスソフトを使っているかのような感覚でUIを作成できる。データベースへのデータ格納・引き出しの時点で内蔵のスクリプト言語を使った作り込みができるので、ワークフローをソリューションに組み込んだカスタムアプリケーションに仕立て上げられる(図1)。

図1●あたかもカスタムアプリケーションを独自開発したかのように作り込んだソリューションをクロスプラットフォームで実行できるようになった
図1●あたかもカスタムアプリケーションを独自開発したかのように作り込んだソリューションをクロスプラットフォームで実行できるようになった
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 しかも、出来上がったアプリケーションはネットワークを通じて他のパソコン上で動くFileMaker 14、あるいはiOS上で動くFileMaker Go 14で「ピアツーピア」で接続して実行できるので、グループで共有するソリューションに簡単に展開できる。また、カスタムレイアウトを備えたカスタムアプリケーションはFileMaker Serverから配信するとWebアプリケーションとしてWebブラウザーからも利用できる。「WebDirect」と呼ばれるこの機能は、作り込んだアプリをほぼ忠実にWeb上に展開するため、FileMakerの売り物でもあった。しかし、これまでAndroid機のWebブラウザーでの動作は正式に保証してこなかった。Android機の場合、あまりにバリエーションが多く、動作速度の問題、UIコンポーネントの動作がなかなか一定せずFileMaker社としてもなかなかサポート対象にし得なかったのだ。

 今回、Android機で動くWebブラウザーでも要件を備えてさえいれば、WebDirectが正式にサポートされるようになった。FileMaker Server 14での配信性能をチューニングした結果、ある一定レベル以上のスペックを持つタブレット機上では安定したパフォーマンスが出せるようになったための決定だ。

 現在のAndroid機の最低保証スペックは以下のようになる。

メモリー2GB以上のRAM
CPU1.4GHz以上のクアッドコアプロセッサ
画面サイズ10.1インチ

 タブレット端末の中ではかなり高級スペックを要求されるが、快適に使うにはこれ以上のスペックの製品を用意するのがよい。サポートするモバイルブラウザーとデバイスの詳細な情報はこちらにある(図2)。

図2●FileMaker Server 14から配信するWebDirectはAndroidタブレットもサポートされるようになった
図2●FileMaker Server 14から配信するWebDirectはAndroidタブレットもサポートされるようになった
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