最近では、スマートフォンやタブレットなど、指で操作する「タッチパネル」が広く普及しています。しかし、一部のタブレットなどでは、「スタイラス」(ペン)を使うことが可能です。スタイラスにもいろいろあり、大きく、「パッシブ方式」と「アクティブ方式」があります。パッシブ方式は、伝導性の素材を使って、静電方式のタッチパネルで指の代用となるものが広く使われています。構造も簡単なので、ほとんどの静電方式のタッチパネルで使えるからです。反面、システム側がスタイラスであることを認識しないため、スタイラスとタッチで操作を分けるといったことが不可能で、あくまでも指の代用品でしかありません。

 これに対して、アクティブスタイラスは、電子回路などを持ち、かつタブレットなどの本体側にもスタイラスの利用をサポートするハードウエアが組み込まれています。この場合、本体側のオペレーティングシステムは、スタイラスを認識しており、アプリなどでは、スタイラスとタッチで操作を切り替えることが可能です。たとえば、描画ソフトなどでは、スタイラスで描画しつつ、タッチ操作で描画領域をスクロールさせることなどが可能です。

 アクティブ方式のスタイラスにもいろいろな方式があります。著名なのは、ワコムの製品やマイクロソフトが買収したイスラエルのN-Trig(Surface Pro3から採用)などでしょうか。そのほか、タッチパッドで有名なSynaptics(シナプティクス)などもスタイラスを製品化(Dell Venueシリーズの一部機種が採用)しています。

 スタイラスのメリットは、人間が使い慣れてきた筆記用具と同じで、制限なく描画や文字の記入を行える点にあります。指で行うタッチでは描画している場所を指で隠してしまうために位置の精度を高くできません。たとえば大文字の「T」のようなものを書くとき、横棒の下側でちょうど中心部分から縦棒を引かねばなりません。このとき、横棒が指の下に隠れてしまうようなサイズではそもそも描画ができません。また、たとえタッチしたとしても、指先のどの部分が選択されるかもわかりません。