100円ショップのクリップボードを使えば、机の上に何かものがあっても、文書を置くための平坦な場所を確保できる。黒のボードを使えば、紙の境界が判別しやすい
100円ショップのクリップボードを使えば、机の上に何かものがあっても、文書を置くための平坦な場所を確保できる。黒のボードを使えば、紙の境界が判別しやすい
(撮影:塩田 紳二)
[画像のクリックで拡大表示]

 かつて紙文書のデジタル化といえばスキャナーの出番でしたが、最近ではスマートフォンの文書スキャンアプリの機能が向上し、大量の文書でなければ、スマートフォンで手軽に文書をデジタル化できるようになってきました。スマートフォンの内蔵カメラは、黒板やホワイトボードのような「紙でないもの」、スクリーンに表示されたプレゼンテーションも取り込むことが可能です。

 また最近では、文書を印刷せずにUSBメモリーに入れて配った方が手軽だし、コストも高くない場合もあるようです。大量の紙を配布するとなると、それだけ印刷に時間がかかります。印刷時間はプリンターの印刷能力と印刷量で決まってしまうため、場合によっては予定よりも早く文書を作り終えねばならない、といったこともあります。

 電子的に配布することにすれば、時間の制約から逃れられるかもしれません。もっとも、数枚程度の印刷物なら業務用コピー機ですぐに大量印刷できるので、そう簡単にはなくならないでしょう。

 筆者も以前は、両面をスキャンできる複合機を持っていて、もらった資料がある程度たまったら、まとめてスキャンしていたのですが、利用頻度が低く、使うのをやめてしまいました。

 しかし、文書のスキャンが一切不要になったわけでもありません。取材のときなどにもらった資料を何度も参照するなら、スキャンしてデジタル化したほうがラクです。特に移動中に作業するような場合、紙を持ち歩くのは面倒だし、紛失の危険性もあります。でもデジタル化してクラウドに保存しておけば、モバイル機器からいつでも参照できます。

 そういうわけで、今回は、スマートフォンによる文書取り込みを考えてみることにします。

100円グッズで撮影環境を整えよう

 ポイントは2つあります。1つは、取り込むときの品質を左右する撮影環境。2つめは、文書スキャンソフトの選択です。

 スマートフォンの内蔵カメラで文書をスキャンする場合、アプリなどで傾きや露出の調整ができますが、できれば最初から紙をまっすぐにして撮った方が、きれいにとりこめます。そのためには、紙の文書を平坦な場所に置き、余計なものが写らないようにする必要があります。

 こうした環境を簡単に作るには、100円ショップで売っている「クリップボード」を使います。A4サイズの文書が多いので、それよりも一回り大きい「B4用」(実際にはB4用紙サイズよりもちょっと大きい)の「黒」のクリップボードを用意しましょう。

 これがあれば、たとえ机の上が散らかっていても、その上にボードを置けば平坦な場所を作れます。外出先やホテルのように必ずしも日頃使う作業環境とは違う場所でも、平坦な面を確保できるのです。クリップボードの色が黒というのは、文書の多くが白い紙であるため外周をスキャンソフトが検出しやすくする意図があります。

 もちろん机の上がいつもきれいで、すぐにA4の紙を広げられるようなら、わざわざクリップボードを用意する必要はありません。ただパソコンを使っていると、机の上に書類をきれいに広げるスペースがない人が多いのではないでしょうか。