公衆Wi-Fiサービスの提供者が、無線通信の秘匿性を高める取り組みを強化している。暗号化されていない通信のSSIDを縮小し、暗号化した通信のSSIDはより高度な方式を増やすなど、SSIDの「世代交代」を進めているのだ。

 例えば、NTTドコモは脆弱性が明らかなWEP方式を使ったSSID「docomo」を「既に大幅に廃止している」(Wi-Fi企画部門の安藤禎宣担当部長)。代わりに強化したのが、暗号が強固なWPA2方式の中でも盗聴が極めて困難な方式を使ったSSID「0001docomo」である。

 ソフトバンクモバイルも、同様に盗聴が困難なSSID「0002softbank」の提供に力を入れる。従来は暗号化なしのSSID「0001softbank」が主力だったが、既に縮小にかじを切った。「利用者が0002softbankに対応した端末に移行するのに合わせて、暗号なしのSSIDを順次廃止していく」(同社の谷口統括部長)方針だ。

 暗号化したSSIDを強化するのは、「盗聴しやすい」というWi-Fiが持つ負の印象を払拭する狙いだ。公衆Wi-Fiサービスを積極的に使わないという消費者に、その理由を聞くと「盗聴の恐れがある」などセキュリティへの不安が上位に挙がる。