企業変革を進めるリーダーには、周囲を巻き込むスキルも求められる。なかでも経営トップからの信頼を得ることが肝要だろう。強い企業の改革者は、経営トップとどのようにして信頼関係を築いているのだろうか。

 日経BP社が2015年4月21日に開催した「日経ITイノベーターズ Executive Summit ZERO」では、「ITイノベーターの使命」に関する議論のなかで、社長との対話について様々な発言が飛び出し、大いに盛り上がった。参考になりそうな発言をピックアップして紹介しよう(日経ITイノベーターズ Executive Summit ZEROについてはこちらを参照)。

“小分け”にして社長に相談

 「大型投資について社長に話を通したい場合、1回で承認を得ようなどとは考えず、“小分け”にして相談する。会議室の外で雑談を兼ねて、『次の投資案件は10億円ぐらいかかります』と切り出してみる。すると『何?10億円も』といった反応が返ってくれば、『まだ概算の段階ですから』と言って話題をさっと変えてしまう(笑)。そのようなことを何回か繰り返して、地ならししておくと、一発では通りにくい大型投資案件の話も通りやすくなる」(陸運・取締役経営企画部長)

 「一度で決着をつけようとせず、話を小分けにして、徐々に社長の理解を得るという話は参考になります」。こう司会者が話すと、ほかの参加者もうなずいていた(写真1)。

写真1●ディスカッションの様子(撮影:井上 裕康)
写真1●ディスカッションの様子(撮影:井上 裕康)
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