いよいよ今年(2015年)10月から、マイナンバー制度(番号法)が始まります。まずそれぞれの世帯に通知カードが送付され、それぞれの会社に法人番号通知書が送られます。また、年明けの2016年1月から個人番号・法人番号を利用した手続きが開始されます。

 企業などの事業者にとっては、現時点(2015年5月)から年明けの番号を利用する手続きが始まるまで残り8か月となりました。企業がやらなければならない準備は多く、また国が手取り足取りすべき対応を細かに指示してくれるわけでもありません。

 残る期間を走りきるために、何をしなければならないのか、また具体的な注意事項は何か。この連載では、それを山登りに例えてお伝えします。筆者は、悩める企業担当者のペースメーカー兼伴走者です。一緒に、マイナンバー制度の山を登りましょう。

 なお、マイナンバーに関しては、日々新たな情報が出てきている状況です。本記事は、執筆時点での情報に基づいていることにご留意下さい。

スタートライン:危機意識を持とう

 マイナンバー制度は、あらゆる企業が取り組まなければならないものです。まずはこの認識を持つことが重要です。例外はありません。従業員を雇用する限り、必ず個人番号を扱う機会が生まれます。

 個人番号を扱うことにより、すなわち個人番号の提供を依頼し、提供を受ける際に番号法上の本人確認を行い、提供を受けた個人番号を安全に管理する措置を講じる義務が生じ、個人番号が記載された書類を税務署やハローワークなど関係行政機関に提出することになります。一定の期限が到来した後は、個人番号の消去もしなければなりません。

 形式的には、12桁の個人番号や13桁の法人番号の記載を追加するだけのように見えますが、実際はそれ以上の業務が義務として課せられます。その多くは、これまで企業が行ったことのないものです。過剰に恐れる必要は全くありませんが、罰則も強化されています。

 マイナンバー制度導入で、たいていの企業は想定を超えた対応が求められます。いくつかの企業関係者と意見交換する中でも、「当初の予想よりしなければならないことが多い」といった声を多く聞きます。基本的には表1のような流れでマイナンバー対応を行い、図1のスケジュールで検討を進めることが想定されます。少なくとも当初は「思ったより大変だ」といった予測を持って、検討を進める方が良さそうです。

図1●対応スケジュール案
図1●対応スケジュール案
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