数少ない国内のビットコインベンチャーとして語られることの多いコインパス。現在はEC(電子商取引)事業者向けの決済サービスを提供している。クレジットカード取引よりも低い手数料がウリだ。だが、ビットコイン決済サービスはあくまで序章と語る仲津正朗共同創業者兼CEO(最高経営責任者)に起業の背景と狙いを聞いた。

photo:山田 愼二
photo:山田 愼二

 コインパスは新しい経済システムを作るために起業した会社です。現在、EC(電子商取引)事業者向けに、仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」を決済で受け付けられるようにするサービスを提供しています。

 経済システムの根幹である貨幣システムについてずっと課題意識を持っていました。きっかけは大学で経済学を学び、バブル恐慌経済に興味を持ったことです。調べれば調べるほど戦争や環境問題など世界が抱えている問題の多くは貨幣の仕組みに起因していることが分かりました。

 研究を続けたかったのですが、大学院に進む費用がなかったため、卒業後は投資会社に就職しました。3年目で米ニューヨークに転勤になり、ウォール街という金融の中枢に身を置くことができました。貨幣システムの問題点を具体的に理解できましたが、ちょうど勤務していた投資会社がニューヨーク支社を閉じることになり、自分なりに課題を追求していこうと考え、政治家、学者、起業家という三つの選択肢から今後の進路を選ぶことを決めました。