VAIOが2015年12月9日に発表した「VAIO S11」は、VAIOシリーズとして初となるSIMロックフリーのLTE通信機能を搭載したことで、大きな注目を浴びている(関連記事:早速試した!「VAIO S11」、VAIO初のSIMフリーLTE対応モデル写真1)。

写真1●SIMロックフリーLTE通信機能を搭載した「VAIO S11」(撮影:山口 健太、以下同じ)
写真1●SIMロックフリーLTE通信機能を搭載した「VAIO S11」(撮影:山口 健太、以下同じ)
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 SIMロックフリーのデバイスは、スマホやタブレットを中心に国内でも盛り上がっている。その一方で、ノートPCではLTE通信機能自体の採用が進んでおらず、わずかなモデルが登場したにとどまっている。

 本記事では、なぜVAIOがSIMロックフリーのLTE対応ノートPCを開発できたのかを分析することで、2016年にこうしたPCが増加する可能性はあるのか、展望する。

実現困難だったSIMロックフリーLTEのノートPC

 2015年末時点で、国内の携帯電話端末市場の5〜10%をSIMロックフリー端末が占めるとみられており、その勢いはさらに増す傾向にある。だがスマホやタブレットの盛り上がりとは対照的に、ノートPCではセルラー通信機能の搭載はなかなか進んでいない。

 ソニー時代の「VAIO Duo 13 LTE」や、パナソニックの「Let'snote」シリーズのように、LTE通信に対応した機種は存在したものの、選択肢は限られてきた。PC本体や通信料金も高額で手を出しづらく、出先での通信にはモバイルWi-FiルーターやUSBモデム、公衆無線LANに頼ることが多かった(写真2)。

写真2●KDDIのLTE通信機能を搭載したソニーの「VAIO Duo 13 LTE」
写真2●KDDIのLTE通信機能を搭載したソニーの「VAIO Duo 13 LTE」
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