アップルのiPhoneやiPad向け最新OS「iOS 9」には、インターネット上の広告など特定のコンテンツをブロックする「広告ブロック」機能が新たに搭載されたとして、注目を浴びている(写真1)。

写真1●「広告ブロック」機能を搭載したiOS 9
写真1●「広告ブロック」機能を搭載したiOS 9
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 iOS 9は9月16日より既存のiPhone 6やiPad Air 2などに向けて配信が始まった。また、9月25日発売の新型iPhone「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」にも標準搭載される。これまでにもPC向けには広告ブロック機能を備えたアプリやツールが存在していたが、アップルがiPhone向けに標準搭載したことで、モバイル業界にどのような影響をもたらすか議論が広がっている。

 本記事ではこの広告ブロック機能について、技術的な側面とビジネス的な側面の両面から分析する。

2種類の「広告」ブロック機能を知る

アップルが「広告ブロック」を導入したことで、広告収入に依存するグーグルとの対立を予測する見方も出ている。だがこれらの議論では、iOS 9における二つの新機能について混同しないように注意したい。

 一つめの新機能は、iOS 9のSafariが搭載した「コンテンツブロッカー」機能。もう一つはサードパーティアプリによるWebサーバーとの通信にHTTPSの使用を強制する「ATS」だ(写真2)。

写真2●iOS 9のSafariに「コンテンツブロッカー」機能が追加
写真2●iOS 9のSafariに「コンテンツブロッカー」機能が追加
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 まずSafariのコンテンツブロッカーは、これ自体は特別な機能を持っていない。有効化するには、サードパーティによるブロックのためのアプリをApp Storeからインストールする必要がある。