ゼンリンデータコムとNTTドコモは2015年4月13日、両社が開発・運営するスマートフォン向けナビゲーションサービス「ドコモ地図ナビ powered by いつもNAVI」の機能を大幅に拡充した(写真1)。GPS(全地球測位システム)による位置特定が困難な地下街や駅構内など、全国約320カ所の屋内ナビに対応したのがポイントだ(写真2)。

写真1●Android用の「ドコモ地図ナビ powered by いつもNAVI」アプリのダウンロード画面
写真1●Android用の「ドコモ地図ナビ powered by いつもNAVI」アプリのダウンロード画面
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写真2●2015年4月13日のアプリ更新で、新たに屋内ナビ機能を追加した
写真2●2015年4月13日のアプリ更新で、新たに屋内ナビ機能を追加した
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 月額利用料は300円(税別)。「docomo ID」を取得すれば、ドコモ以外の端末でも使える。現状では、屋内ナビ機能はAndroid OS版アプリのみ対応している。

 屋内高精度測位に挑む姿勢は、本連載で紹介している他の事例と共通している。だが、「ドコモ地図ナビ」の地図エンジン部を開発したゼンリンデータコムのアプローチは他社とは大きく異なる。無線LAN(Wi-Fi)やBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン/iBeaconなどの外部機器に依存しない仕組みが特徴である。

一気に全国約320カ所で利用可能に

 国土交通省による東京駅周辺での実証実験(本連載の[1]を参照)では、施設の管理者の許可を得てビーコン発信機などを設置することが前提条件となっている。技術面の課題が解決しても、実際に多くの施設で利用するには、その都度管理者の許可を得て発信機を設置・運用しなければならない。

 ゼンリンデータコムはこうした考え方と一線を画していることもあり、国交省の実証実験には参加しなかった。同社の技術では、地図データさえあればどこでもナビができる。機器設置の手間がかからないため、サービス開始時から一気に地下街や駅など全国の約320カ所で利用可能になった。