分散型のリアルタイム分析基盤 あきんどスシロー

 マグロ、サーモン、エビといったさまざまな寿司が色とりどりの皿に載って流れる。その寿司皿一つひとつにはICタグが付いている─。これは、あきんどスシローの回転寿司店舗の様子だ。ICタグを活用し、レーンに載せた時刻や、顧客が皿を取った時刻、つまり売れた時刻を管理している。

 ICタグで収集したデータは、店舗運営の効率化に生かす(図2)。例えばレーンに載せた寿司の鮮度を管理する。レーンに寿司皿を載せてから、寿司の種類ごとに定めた時間が経過すると自動的に廃棄する。

図2●ICタグ付き寿司皿の情報を活用し店舗運営を効率化
図2●ICタグ付き寿司皿の情報を活用し店舗運営を効率化
寿司皿に付けたICタグで、いつレーンに載せ、いつ売れたかを把握。収集したデータを需要予測などに生かしている
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 キッチンに目を向けると、店員たちがモニターを確認しながら寿司を作る様子がうかがえる。モニターは同社の「回転寿司総合管理システム」の画面を表示している。現在席に座る顧客が食べた寿司の種類や数量、さらにこの後に需要がありそうな寿司などの情報を表示する。店員はシステムの情報を手がかりに、レーンに流す寿司の種類や数量を決める。

 回転寿司の魅力の一つは、レーンに次々と流れる寿司の姿。とはいえ、むやみに流し過ぎると売れ残り、廃棄せざるを得ない。1皿100円、原価率約50%を掲げる同社にとって、廃棄率の増加は経営に大きな痛手となる。

 そこでICタグで収集したデータを活用し、その日の売れ行き状況や過去の販売実績を総合した分析によって、いつどんな寿司をどれだけレーンに流すのかを制御するわけだ。あきんどスシローの田中 覚氏(情報システム部長)は「ベテランの店員がいなくても安定して店舗を運営するためにデータ分析が役立つ」と話す。