前回は、問題解決力に必要とされる五つのスキルについて、架空の小売り企業「特売スーパー」の二人の主任を題材に説明しました()。

表●データエンジニアに必要な五つの問題解決スキルと、「特売スーパー」のデータ分析担当二人のスキルの違い
表●データエンジニアに必要な五つの問題解決スキルと、「特売スーパー」のデータ分析担当二人のスキルの違い
[画像のクリックで拡大表示]

 とはいえ、この五つのスキルを全て完璧に習得しようとすれば、とんでもない時間がかかってしまいます。今回はこの五つのスキルについて、意味あるデータ分析を手掛けたいデータエンジニアに最低限求められる水準と、その習得法について詳しく説明します。

現場に足を運ぶ、現場で働く

 最初に説明するのが(A)現場感覚です。「データ分析をするには、データを外部のデータサイエンティストに渡せば済む」などとと安易に考える人もいますが、これは大きな誤解です。以下、なぜデータ分析に現場感覚が必要かを説明します。

 分析を通じて綺麗なグラフを作図しても、見せた人に「だから何なの?我々はどう行動すればいいの?」と思われるようでは全く意味がありません。こうした無意味なグラフができてしまうのは、データ分析者が「分析の結果、企業はどんな手を打つべきか」という着地点を意識していないためです。

 前回の特売スーパーの例でいえば、「東地域の売り上げが悪化している」という分析結果を出しても、売り上げを好転させるための打ち手はまったく分かりません。これに対して「商品構成を変える」という着地点を想定すれば、「商品構成の変化と売り上げの変化の関係」について分析できます。結果として「シニア向けの高価格商品の販売構成を増やした店舗ほど、売り上げが伸びている」という分析ができれば、その後の打ち手は明確です。