前回は、データ分析で価値を出すためには「組織を動かす力」と「問題解決力」の両方が必要であるとお伝えしました(図1)。

図1●分析で価値を出すために必要なスキル
図1●分析で価値を出すために必要なスキル
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 今回は前回に引き続き、架空の流通企業を題材に、データエンジニアに必要な問題解決力、つまり「正しい答えを導く力」を解説します。

 まずは、前回のおさらいです。株式会社「特売スーパー」は、定期的な特売で主婦の心をがっちりつかみ、店舗数を増やしていました。

 ところが近年では、業績が次第に悪化。最近では仕入れや社員の給料支払いのための手元資金に余裕がなくなってきました。

 そんな状況に危機感を覚えた内山社長は、藤牧主任と佐藤主任の二人をデータ分析担当に任命しました。「ここ2~3年で既存店の売り上げは減少し、当社の屋台骨は大きく揺らいでいる」として、窮地を脱するための分析任務を与えたのです。ところが藤牧主任は、問題解決スキルがからっきしで、散々な結果に…。

 一方の佐藤主任は、週次の営業レポートから、この状況でも売り上げを伸ばしている店舗があることに気づきました。佐藤主任は、早速この店舗を訪れました。では、続きをみていきましょう。

佐藤「店長、お疲れ様。最近ずっと成績いいみたいじゃない。どうしたの?」

店長「そうなんですよ。1年前くらいから高級魚がバンバン売れ始めて、客単価がものすごく上がってます。昔なら本マグロなんて高値で売れませんでしたが、今じゃ値ごろのメバチよりもはるかに売れますよ」

佐藤「へー、そうなんだ」

店長「うちのエリアマネジャーはこれに気を良くして、他の店でも高級魚の品揃えを増やしているみたいですよ」

佐藤「なるほど。じゃあ他の店も行ってみるか」

 佐藤主任は、同じエリアマネジャーが担当する他の店舗にも行ってみました。ところが、そこには先ほどと違う光景が…。