今回は、スマートフォンを含めたデジタルマーケティングに取り組む担当者へのインタビュー内容を紹介する。インタビューでは、プロジェクトをどのように組織の中で進めたかについて聞いた。

 1社めは、第3回でも紹介した結婚情報サービス「ゼクシィ」を運営するリクルートマーケティングパートナーズ。執行役員/ネットビジネス本部プロダクトマーケティング部の櫻井康平氏に、ユーザー調査の結果からスマートフォンアプリへのリソース集中へ戦略の転換を行った経緯、組織内部への伝え方を聞いた。

 2社目は、2010年から「日本経済新聞 電子版」として新聞のデジタル課金サービスを開始し、創刊後すぐにスマートフォンアプリもリリースした日本経済新聞社。デジタル編成局編成部の重森泰平氏に聞いた。2015年4月にリニューアルした日経電子版アプリは、これまでと異なる体制で開発した。有料会員の純増数が過去最高を記録するなど大きな成果をもたらしたという。具体的にどのようなチーム体制を構築したか明かしてもらった。

 どちらの会社も、デジタル発端の事業ではなく、既存の非オンライン事業で築いたリソースを活用した上で、デジタルマーケティングという新しいチャレンジに取り組んでいる。読者の多くに当てはまる状況だと思う。

スマートフォンが伸びている、だけが理由ではない

 まず、なぜデジタルマーケティングの注力領域としてスマートフォンを選んだのか、その経緯について紹介する。

 リクルートマーケティングパートナーズは、花嫁の日常行動や心理変化を把握するエスノグラフィー調査の結果から導き出した、「花嫁に寄り添ったサービス」(櫻井氏)という方針が判断のポイントになった。ブラウザーサービスではなくアプリを選んだのは「リクルート各グループのデバイス別データを見ると、ブラウザ-よりもアプリ利用者のフリークエンシー(再来訪頻度)が高かった」からだという。