前回は、スマートフォンにより、ニーズがまだ明確になっていない段階でもユーザーと企業との接点が生まれるようになった変化をお伝えし、ビービットのプロジェクト事例からユーザーを顧客化するための具体的な方法を紹介した。

 今回は、商品・サービスを購入した顧客に対する、満足度維持やクロスセル・アップセルなどのLTV(Life Time Value:生涯価値)向上を目指した「ポストセールス」について、スマートフォンを活用した取り組みを紹介しよう。合わせて、プロジェクトを進める上で、成功を左右するポイントについても整理する。

ポストセールスはアフターサポートではない

 「ポストセールス」と言うと、一般的には既存顧客からの問い合わせ対応に代表される、どちらかというと保守的なアフターサポートだと思われるかもしれない。もちろんそうした面もあるが、ビービットは「顧客満足度を高め、新たな購買を促進するための興味・関心喚起フェーズ」と考えている。スマートフォンによって企業から顧客へのアプローチ機会も増えたことで、今後はこのフェーズにおけるマーケティング活用が注目されるだろう。

 実践では、基本的に「プレセールス」と同じ考え方が成り立つ。しかし、2点ほど異なるポイントがある。

 まず、ポストセールスの段階では、顧客の属性データを持っている。商品、サービス時の登録情報を参照すれば、より個人に合わせたプロモーションが可能になる。プレセールスの段階よりもニーズを把握しやすくなるはずだ。

 次に、顧客の行動が見えづらくなる点がある。先に述べたポイントと矛盾しているようだが、特にインターネット上でリードを獲得し、オフラインでサービスを提供する場合に当てはまる。

 顧客化までのインターネット上の行動は、アクセスログ解析や広告解析などトラッキング技術も発達しているため、ある程度の予測できる。しかし、一度インターネットから離れてしまえば、顧客行動が分からなくなってしまう。だからこそ、これまでのポストセールスでは問い合わせ対応のような保守的な活動がメインだったともいえる。